吉浦ブログ
瀬戸内海に面した呉市吉浦。弥生石器が出土したこの街・吉浦を歩いてみると、昔ながらの人なつっこい人情や情緒を感じます。「かくまでに 思はざりしに 来てみれば いと住みやすき よし浦の里」。この歌は、吉浦八幡神社の山の手の歌碑公園に建立されています。紫式部の父である筑紫守・藤原為時が詠んだ和歌です。いにしえの歌そのままに、今も通じる住みやすき吉浦を、画像で捉えてみました。
コロナ禍でやめていた呉市の吉浦八幡神社カニ祭りが、4年ぶりに催され、だんじりやお神輿、屋台などで賑わいました。吉浦本町の奥の坂道でも、篠笛や和太鼓とともに摺鉦(すりがね)の快い響きが鳴りわたりました。(吉浦本町で)
カニ祭りの日、奥の坂道では、鉦、笛、太鼓の行列が時折止まります。止まった先では、代わる代わるに小さな子らが太鼓を打ち、神気をまくばりました。
太鼓を引いて練り歩く幼い法被姿の子らの行列。怪我をしないように、祭り関係の大人や保護者が付き添っていました。吉浦カニ祭りは、毎年10月の第一日曜日に繰り広げられます。
先陣をきってお旅所に着いた東町奉賛会の威勢のいい「ちょうさい」(吉浦新町で)
一区自治会・魚見会の「獅子舞い」
魚見会稚児による華やかな「花笠おどり」。この場で、鬼が出てきて獅子を退治する舞いが圧巻。
地酒「水龍」の酒樽にワタリガニが乗っかった二区自治会の「御神酒みこし」。
時折、口からすさまじい白煙を吐きながら進む四区自治会・神龍保存会の「神龍みこし」。
宮花自治会の「御船みこし」。
カニ祭りでお旅所に渡御する「吉浦八幡神社の神輿」。担ぐのは、海上保安大学校の大学生。その後を神主、巫女などが続く。この「神社神輿」のために、お旅所が賑う。すべてのおみこしや、鉦笛太鼓、花笠踊り・獅子舞い・ばくろうのお旅所披露は、「神社神輿」を奉祝するためにあるのです。
「神社神輿」が据えられると、お旅所は荘厳な雰囲気につつまれます。
宮西自治会の6俵をかたどった「御蔵米みこし」。
地酒・水龍の酒樽をのせた10区の「御神酒みこし」。
10俵を乗せた本町自治会の「御蔵米みこし」。
東上祭礼委員会の笛太鼓がしずしずと進む。「神社神輿」のまえで、威勢のよい太鼓と笛の音を響かす。
八区自治会・松葉青年会の「鉦と笛と太鼓」。このあとの暴れ太鼓は目をみはるものがあります。
五区自治会の笛太鼓の列が、「神社神輿」に向かってすすむ。
10月の第一日曜日は、呉市の吉浦八幡神社の例大祭。地元では、このお祭り日を吉浦カニ祭りと呼んで、日曜日前後の三日間奉祝します。JR吉浦駅の海側広場には、自治会の色とりどりの幟(のぼり)がはためきます。第一日曜日の午後3時頃から、この幟のたつ吉浦新町の広い道路がお旅所となり、神社から渡御した神社神輿のお供をする「ちょうさい」というだんじりをはじめ、神龍、米俵、酒樽、御船など趣向を凝らしたみこし、それに笛太鼓の列、花笠踊り、獅子舞い、ばくろう、鬼・天狗で賑います。(吉浦新町で)
吉浦八幡神社の一の鳥居。ここから103段の石段をみこし担いで、宮上がり、宮下がりをします。(吉浦西城町で)
岩西自治会の御蔵米みこしで、俵みこしと呼び親しまれています。6俵をかつぐ男衆の威勢のよい掛け声で、町内を練り歩いて境内にやってきました。(吉浦西城町)
米俵のみこしは、もうひとつあります。10区自治会の俵みこしです。こちらは、10俵の御蔵米をかつぎます。みこしを見ているだけで、勇気がわき、活力がみなぎってきます。(吉浦西城町)
波おだやかな吉浦湾をはじめ瀬戸内海では、ワタリガニがよく獲れたそうな。旬は、もっぱら晩秋から春。ワタリガニの大漁・豊漁に感謝を捧げることが、そもそもの吉浦八幡神社におけるカニ祭りの発祥になったということなんですって。吉浦の食品スーパーや、ゆめタウンの鮮魚コーナーでは、秋になると、ワタリガニがわんさと並びます。しおゆでにしたり、蒸しガニで食べたり、みそ汁に入れたり・・・と、料理法は多彩。黄褐色の横長で六角形のような甲羅には、白い水玉模様があり、ハサミや脚は青みがかっていますね。
青銅のゆるやかな屋根が気持ちいい吉浦八幡神社の奥宮。人は本殿とも本堂とも呼びあがめています。日ごろの参詣をはじめ、ボーイスカウトの行事や巫女舞いの練習、とんどまつり、慰霊祭など、町民の暮らしに深くつながっていますが、なかでも賑うのが吉浦カニ祭り。毎年10月第一日曜日の例大祭をはさんだ三日間は、街をあげての奉祝祭礼となります。(吉浦西城町)
吉浦カニ祭りには、だんじりやいろんなお神輿が繰り出ますが、太鼓、笛、鉦の鳴り物は、荘厳で威勢のよい音が、境内いっぱいに響きます。
一の大鳥居まえに集まった吉浦カニ祭り参詣の善男善女。ここから、百十数段の石段をお神輿や太鼓の列が上がりくだりします。
吉浦のカニ祭りは、趣向をこらした色んなおみこしの出現も圧巻ながら、魚見会・一区のバクロウの出現にも度肝を抜かれます。かなりの丈のある3体の張り子人形・・・声を張り上げ、青竹ふりまわして闊歩するバクロウという巨人。参詣客に危害を加えることはありませんが、ともかく目も眉もつりあがる赤い顔のバクロウには、鬼気迫る迫力があります。(呉市吉浦西城町で)
おっとりとしているようで、何か思わせぶりな黄色の顔したおちょぼ口のバクロウ
タバコをくわえた上目づかいのバクロウも、カニ祭りには必ず出てきます。
吉浦八幡神社の二の石鳥居に佇むバクロウ三体。怖いというよりか、どことなく愛嬌があると思いませんか。
吉浦八幡神社の境内で、稚児があでやかな花笠踊りを舞う姿は、もう可愛くて、愛らしくて・・・獅子2体もかたわらで花笠踊りを見守ります。「ちょうさい」みこしの左には、吉浦潭鼓町(魚見会・一区)にとって由緒のある荒神社の祠がみえます。
吉浦八幡神社の10月の例大祭はかつてこの時期に渡り蟹が多く捕れたことで、吉浦カニ祭りと呼ばれるようになりました。カニ祭りには、さまざまなおみこしや笛太鼓などが繰り出ますが、鬼も出没します。カニ祭り3日目には、鬼廻りといって、小学校や保育園などにもいろいろな鬼が現れます。(吉浦東本町の第二公園で)
カニ祭りに出没する鬼は、夜中でも、昼間でもわけへだてなく出てきます。吉浦本町商店街のアーケードの下では、「よっこらしょ」と、鬼の面々が腰をかがめて休みました。(吉浦本町で)
鬼一同が最終的に集まるのは、夜の吉浦八幡神社。大人でも、オドロシイ感じがします。(吉浦西城町で)
神社境内にたむろする赤鬼、青鬼、白鬼・・。カニ祭りでは、各自治会が繰り出す趣向をこらしたおみこしや笛太鼓列を先導します。露祓いの意味があるんですね。時には、路上で幼児を突然抱っこすることもあります(吉浦西城町)
一本足の高下駄を履き木の葉がついた杖をもつ鼻高天狗と、黒棒をもち二本のつののある赤鬼が、「悪い人は追い出すぞ」とばかりに、あたりを警戒しているように見えました(吉浦八幡境内の二の鳥居近くで)
街なかを練り歩き、吉浦八幡神社に上がってきた酒樽を積んだ10区自治会の御神酒みこし。威勢のよい掛け声に、参詣した人たちが取り巻き、にぎわう。吉浦カニ祭りは、秋10月の第一日曜日とその前後あわせて3日間行われます。おみこしでにぎわうのは、第一日曜日です(吉浦西城町で)
吉浦本町のアーケード街は、カニ祭りの3日間、歩行者天国になります。出店がずらりと並び、呉名物のイガ餅、ヨーヨーすくい、わた菓子、おもちゃ、やきとり、とうもろこし、金魚すくい・・。大人も子どももワクワクするのが、お祭りの露店・夜店です。このアーケードを、ちょうさいや、神龍などのおみこし、鉦笛太鼓の列が通ります。(吉浦本町で)
よーくねらって撃つんだよっ。ほしいものに照準を合わせ、棚の景品が倒れたらもらえる射的。親子が一心同体(?)で楽しんでいる光景を目にすることがあります。食べ物や遊び屋台の賑やかさは、カニ祭りならでは。
あつっあつっ、と感じながら、ほかほかのタイ焼きやタコ焼きを歩きながら食べたり、お土産に包んでもらったりするのも楽しみのひとつですよね。
バイキンマンのお面を頭にかぶり、夜のアーケードを歩く若人。ことしもまた夜店露店を覗くのが楽しみ。
大船みこしは、八幡神社の境内に入ると、手水舎のそばに建つ角丸神社にごあいさつをします。小さな祠だけど、宮花町にゆかり深い神社。この角丸神社の前を通り、吉浦八幡神社の神殿へと向かうのです。
八幡神社の拝殿に駆け上がって、鎮座ましますご祭神にごあいさつ・ご奉告する宮花子供会の小船みこし。
吉浦八幡神社のカニ祭りには、さまざまなおみこしが繰り出ます。その中で、ちょっと変わったのが、この神龍みこしです。金のウロコでおおわれた龍は、それはそれは大きな龍で、とぐろを巻いています。あけた口には、宝珠をくわえていて、時々「ゴー」というすさまじい音とともに、白い息を吐き出します。圧巻な絵巻の連続。町内を練り歩き、吉浦本町のアーケードをくぐり抜け、石の大鳥居をくぐり、神社にやってきます。さあ、この秋も、神龍保存会(5区自治会)の神龍みこしを観るのが楽しみ。(吉浦西城町で)
神社本殿に駆け上がって白煙を吐く神龍みこし
吉浦の11カ所の自治会のだんじりやおみこし、笛鉦太鼓など出し物が、神社の103段の石段を上がったり(宮上がり)、下がっていく(宮下がり)順番と大まかな時間は、一覧表になって示されます。宮下がりでは、神社の神輿が、お旅所に向かうために、宮下がりをすることが、一覧表で分かります。
大正11年の祭りの申し合わせ(誓約書)。当時は、自治会といわず、分団と呼称していたことが分かります。分団は、友、松葉、西、松、箱、中正、龍、東、岩西があったんですね。